Deep Library Projectのブログ

ディープ・ライブラリープロジェクトのブログ

ディープ・ライブラリープロジェクトの誕生秘話

初めまして、ディープ・ライブラリープロジェクトのブログへようこそ。

今回は、ディープ・ライブラリープロジェクトが、どうして誕生したかをお話しましょう。

日本には公開型の専門図書館は980館以上あります。でも、公共図書館には、あまり知られていないのが現状です。

ところが実際には、一般の利用者にも、研究者と同じように、より深い情報を必要としている方々がいるのです。

ディープ・ライブラリープロジェクトは、一般の利用者に、専門図書館をもっと利用していただこうという目的で発足しました。

きっかけは、2014年3月に公開された機械振興協会(BICライブラリ)と市政専門図書館の横断検索の実現です。

はじめは、単純な2館を結んだ横断検索システムを作るというものでした。そのシステム制作を依頼した先がカーリルだったことが「ディープ・ライブラリープロジェクト」誕生の要因です。たぶん他の会社に依頼していたら、いくつかの専門図書館を結ぶ横断検索というもので終わったと思います。

専門図書館ってディープだよね」

「例えば、『どんなこと知りたい?』という窓があって、何か入れると、『それには、こんな専門図書館があるよ』と教えてもらえる水先案内のようなツールがあると嬉しいよね」

 という吉本の発想がきっかけで、ディープ・ライブラリープロジェクト委員会が発足しました。

これは専門図書館公共図書館、だけではなく図書館と利用者の距離をぐっと近づけてくれるツールになるのではないかと思いました。

いろんな専門図書館が参加してくれて、公共図書館がリンクをはってくれることがその大きな夢をかなえる重要なステップです。

2014年の総合展で、そんな構想を発表したいと思ったものの、形になるには至りませんでした。この頃、小さな命が誕生しつつありました。

“ディープ・ライブラリープロジェクト”の名前が使われ始めたのは、2014年12月19日の打ち合わせの頃からだと記憶しています。

ディープ・ライブラリープロジェクト実行委員会のメンバーは、以下の5人からスタートしました。

・機械振興協会(BICライブラリ) 結城智里

・市政専門図書館 田村靖広

・カーリル 吉本龍司、ふじたまさえ

・ライブラリーアドバイザー 高野一枝

 

でも、赤ちゃんが、お母さんのお腹でじっくり待つように、ディープ・ライブラリープロジェクトもかたちになるまで1年の歳月がかかりました。

 

 

原稿執筆:高野一枝
原稿編集:ふじたまさえ
田村靖広
最終確認:結城智里

具体的なディープ・ライブラリーの仕様を固める

2014年12月19日の打ち合わせ以降、カーリルは具体的な実現イメージのプロトタイプを試作し始めました。

そして、年が明けて2015年春。春の芽吹きのようにプロジェクトが始動しました。

まず、プロジェクトのメンバーの其々の位置づけを決めました。

・カーリル:具体的なシステムの開発・実装

・結城智里、田村靖広:専門図書館との連絡及び、専門図書館協議会への働きかけ

・高野一枝:公共図書館との連絡及び、専門図書館への説明訪問の支援

ディープ・ライブラリープロジェクト実行委員会の本部は、BICライブラリに置くことにしました。

 

打ち合わせは、7月から毎月1回、BICライブラリで開催されました。

その中で決まったことを紹介します。

・ディープ・ライブラリーは、専門図書館の本の1冊を探し当てるより、利用者が求めるテーマに詳しい専門図書館へたどり着き、そこへ相談するきっかけをつくることに重きを置く。

・WebOPACを持たない専門図書館にも参加できる仕組みをつくるため、蔵書だけでなく、Web上で公開している諸情報も検索の対象とする。

以上を踏まえて、カーリルのシステム開発が始まりました。

参加館への呼びかけ

専門図書館への参加をどうやって呼びかけていくかは、何度も話し合いが持たれました。

まず、「参加には費用がかかるの?」と聞かれることが必至だったからです。

幸い、ディープ・ライブラリーの土台になる「専門図書館横断検索」は、2017年3月まで保守費がついています。それまでは無償参加とし、その実績を検証していただき、その先の費用については考えることにしました。

また、専門図書館協議会へも費用や共催について協力いただけるよう相談に行き、検討をお願いしました。直ぐに共催を取り付けるのは難しかったですが、非公式な応援を取り付けました。

 

参加館へのお願いは、以下のステップをとりました。

(1)まず、参加していただけそうな専門図書館を、結城と田村がリストアップ

(2)カーリルが、ディープ・ライブラリーのモックアップを作成

(3)高野も加わり、リストアップした専門図書館を訪問し、参加を促す

 

どの専門図書館からも、やはり費用の問題を聞かれました。

「まずはやってみましょう!」の一言で参加を表明いただいた図書館もあれば、2年後の費用発生を懸念する図書館があったことも事実です。

また、専門図書館によっては、「決裁」が必要だと「保留」状態の図書館もありました。

 

口頭で了解を取り付けたものの、中々具体的な話にならず足ぶみ状態が続きました。

8月の打ち合わせで、参加館へ、専門図書館のメモになる“登録票”を送ることにしました。登録票をいきなり送りつけられてもイメージがわかないので、BICライブラリと市政専門図書館のサンプルを添付しました。

 

登録票には、“ひとこと欄”を設けて、自慢の所蔵コレクションやエピソードを書いていただく目論みでしたが、サンプルがまずかったのか、皆さん固い文章が記載されてきたのです。「諸悪の根源は僕です」と、10月の打ち合わせで謝る田村でした。

でも、皆さんにこっそり教えます。サンプルの市政専門図書館の一言に開館時間などを移動したのは、実は高野です。口語体の文章を簡潔に編集した時に、開館時間の項目がなかったので、ひとこと欄に移動してしまったのでした。

“ひとこと欄”には、エピソードや自慢を書いていただくよう再依頼をかけました。皆さんが目にする“ひとこと”に、きっと目を見張るものもあると確信しています。

 

2015年の秋に向け、当初の目標は4,5館からのスタートでした。

嬉しい誤算は、参加を了承いただいた図書館から、他の図書館を紹介してくださったことです。

まだ産声を上げたばかりのディープライブラリープロジェクト。

専門図書館の参加をお待ちしています。

公共図書館へのリンクの呼びかけ

BICライブラリと市政専門図書館の横断検索は、各々の図書館のホームページからリンクが張られています。

でも、それって変?

だって、専門図書館にはたどり着いているのだから、本当は、たどり着きたい人にこそ目についてほしい!

ディープ・ライブラリーを使ってほしいのは、一般の利用者なのです!

一般の利用者が利用するのは、公共図書館です。

そこで、ディープ・ライブラリープロジェクトへのリンクを貼っていただける公共図書館探しが、以下のステップで始まりました。

(1)全員でリンクを貼っていただけそうな図書館を洗い出す。

(2)公共図書館(市町村/県立)だけではなく、大学図書館も含め、できるだけ多くの図書館を対象とする。

こちらも、最初は口頭でお願いしていたのですが、「文書でほしい」と言われたのがきっかけで、“リンク依頼”の文書を作成し、メールや訪問で依頼をお願いしました。

国立教育政策研究所図書館の参加は、公共図書館には教育委員会を説得するには有利に働くとの情報もありました。

ディープ・ライブラリーへの入り口

ディープ・ライブラリーへの入り口は、とても重要です。

・どんな場所?と興味をもっていただくこと

・誰でも気軽に入っていただく敷居の低さ

この2つを心がけました。

 

そのために、直接使っていただく利用者を代表して、知人の声に耳を傾けました。

はたして、思い通りの入り口になったでしょうか?

皆さんの意見もお聞かせください。

 

興味を持っていただくために用意したツールがいくつかあります。

・ステッカー

・クリアファイル

・ポストカードフライヤー

間もなく開催される第17回図書館総合展のブースにて配布します。

ぜひお手にとってみてください。